EC運営
手動だったECの在庫管理を「Shopify×ロジクラ」にして作業量とミスが劇的に減った話
この記事は、以前の当店(ニュージーランドワイン専門店ボクモワイン)と同じように手動で在庫管理をしていて、その作業に大きな時間を割いている方に向けて書いています。
当店の1日の出荷数は多くて10個口程度の小さなお店です。1個口あたりの商品数はワイン4本〜6本程度となり、多い日で50本程度のワインを発送しています(もっと少ない日もたくさんあります)。
したがってこの記事は、それ以上の規模のお店にはあまり参考にならないでしょう。
ただワインショップに限らず、当店と同じようにまだ運営を始めたばかりで、在庫管理などを手探りでされている方には少しは役立ててもらえるのではないかと考えています。
この記事の要約
この記事の内容をざっとまとめると、以下となります。
以前は在庫を「手動(Googleスプレッドシート)」で管理していた
- 在庫管理だけで最大2時間程度かかっていた
- ミスの発生率が高く、出荷時のチェックにもリソースが必要だった
現在は「Shopify×ロジクラ」で管理している
- 在庫管理には1日5分程度しかかかっていない
- 受注管理もかなり短縮された
- 出荷ミスはゼロに、それに伴ってチェックがほぼ不要になった
- いまはShopifyとロジクラなしのEC運営は考えられない
ちなみにロジクラさんの絶賛記事となっていますが、報酬が発生していたりするわけではありません。単純にものすごく効率化されて感謝しているから記事化しました。
とはいえ、この記事を読んで一人でもロジクラさんの利用者が増えれば、結果的にサービスの改良が進むと思うので、巡り巡って当店の利益になるとは考えています。
それでは、ここから詳細に書いていきます。興味のある方は是非、最後までお付き合いください。
BASE×手動での在庫管理
ボクモワインは、バックヤードを含めた本格的なEC運営に関しては素人同然の人員ではじめたお店です。
Web制作や広告運用などを生業とする佐藤と、ラジオ作家/飲食店経営/ソムリエの岩須さんの2人で運営しています。
ですから、はじめは在庫管理の効率的な方法なども知りませんでしたし、すべて手探りで、そして手作業で行っていました。
使っていたカートシステムはBASE。選んだ理由は、「はじめはBASEがいいよ」と、ECに詳しい複数の方からのオススメがあったことです。
そして在庫管理システムなどは入れず、Googleスプレッドシートを使って、見様見真似で手作業でやりました。
これまで在庫管理などしたことの無い人間が、
- 欠品
- 機会損失
- 過剰在庫
を防ぐために、なんとか手探りでやっていたのです。
手動での在庫管理で行っていたこと
素人なりに必死になっていやっていると、徐々に必要となることがわかってきます。それは、
- ワインの出荷予定数/予定日の管理
- ワインの入荷予定数/予定日の管理
- それらを差し引きした、未引当の在庫数の管理
です。書き出してしまうとシンプルですね。
当店のSKU(品目数)は現在130程と、ECの商品点数としては少ないと思います。
ただしワインという商品は、
- ネコポスなどではなく宅配便で送る必要があること
- 夏季は品質保持の為にクール便で送る必要があること
- 置き配はしづらいこと
から、割と厳密なお届け予定日(発送日)の管理が必要です。これによって未引当在庫の調整が複雑でした。
また、単品ワインを組み合わせたセット商品があるので、それらの注文が入った場合には構成する単品ワインの在庫を一つずつ引いていく必要があります。
もちろんスプレッドシートの関数を使えばできるのでしょうけれど、大得意なわけでもないので、「この程度の出荷数ならとりあえず我慢」と考えていました。
当然、
- お客様からのご要望で出荷日の変更
- 仕入ワインの入荷日の変更
なども発生しますから、その都度、
- 日毎の出荷予定本数
- 発送スケジュール
を調整する必要がありました。
これに加えて
- 日毎/商品毎の入荷予定日への入力
- 出荷後の在庫情報の移動
なども、すべて手作業です。
これらの作業に、年末の出荷数が増えるときなどは、最大で1日2時間程度かかっていたのです。そしてものすごく属人化していましたので、すべて僕がやるしかありません。
しかもスプレッドシートです。
↑当時使っていたスプレッドシート
今考えても、もう二度とやりたくない作業でした。
出荷時のダブルチェックも必須だった
在庫管理に続いて、出荷時のチェックも重要な課題でした。
まだまだ売上も経験も少ない僕たちは、まずはできるところまで自分たちでやろうと、入出荷に関するすべての作業を僕と岩須さんの二人で行っていました。
それは、商品のピッキングや検品、同梱物の丁合、ギフト対応を含む梱包、送状の発行などです。
このうち最大の課題は出荷時の検品です。バーコード管理などしていなかったので、目視でチェックするしかありません。
しかしワインは「ラベルがほぼ同じで、書いてある文字が少しだけ違う」という商品が大量にあり、またまったく同じ銘柄のワインでも、ぶどうの収穫年数を表す「ヴィンテージ」による違いもあります。
まだ当店のワインはニュージーランド産なので英語でわかりやすいのですが、こんな感じです。
- ギブストンヴァレー スクールハウス ベンディゴ シングルヴィンヤード ピノ・ノワール 2016
- ギブストンヴァレー チャイナテラス ベンディゴ シングル ヴィンヤード ピノ・ノワール 2018
これ、違うワインなのですが、ラベルの見た目もほぼ同じなんです。
これらを人力・目視で管理するにはダブルチェック体制が必須。
- 前日までの注文を、午前中に佐藤がピッキング・梱包までする
- 午後から岩須さんが1を再度取り出して検品、発送する
というフローで行っていまして、岩須さんの検品で僕のピッキングのミスを防いだことは一度や二度ではありません。
出荷作業は、直接お客様にお送りする荷物を作る作業ですからとても大切な工程です。
それでも、すべてを人力で行っているとどうしても時間がかかりますし、本来ならば2人分の時間を使うようなものではないことも十分認識していました。
「それでも今はこれでよい」という判断をしていた
上記のような状況に課題を感じてはいたものの、あえて「今はこれでよい」という判断をしていました。
もちろん、ECについて調べるうちに
- 「OMS(オーダーマネジメントシステム=受注管理システム)」
- 「WMS(ウェアハウスマネジメントシステム=在庫/倉庫管理システム)」
というものがあることも、知識としては持っていました。
それでも当時システム導入に至らなかったのは、
- BASEでのオープン直後から課題を感じ、カートの乗換に向けて動いていた
- カートの乗換より先にシステムを導入すると、再度移行作業が発生して費用が重複する
と思っていたからです。
それに加えて、人力・手動でやっていることを効率化することがシステム導入の本来の目的であり、僕と岩須さんが、そもそも「何を効率化するのか」理解するために必要な時期だと考えていたのです。
ボクモワインは、
- 2021年7月 BASEを使って開店
- 2021年9月 カートシステムの乗換を本格的に検討開始
- 2021年11月 カートをShopifyに決定、要件定義などを開始
- 2022年1月末 リニューアルオープン
という流れでカートをBASEからShopifyに切り替えるのですが、その過程で在庫管理システムの導入も検討・決定し、「Shopify×ロジクラ」での運用を開始しました。
ちなみにBASEからShopifyへの切替については、コマースメディア株式会社の井澤さんにアドバイスをもらいながら進めました。
コマースメディア株式会社さんは、本来僕たちのような規模感のお店をお手伝いしてくれることはないと思いますが、普段から色々とお世話になっている運営堂の森野さんのご紹介で特別にサポートして頂けました。
大きなクライアントの実績もさることながら、コマースメディアさん自身もECを運営されているので、経験と知識がとてつもなく豊富です。
その経緯はECzineさんに掲載していただきました。全3回の連載になっているので、是非お読みください。
→ 実録!ウェブ制作会社がワインEC構築から軌道に乗せるまで BASEでオープン~Shopify乗換へ
Shopify×ロジクラでの在庫管理
コマースメディア井澤さんのサポートを得ながらBASEからShopifyに乗り換える過程で、在庫管理を手動で行っていることについてもなんとかしたいと相談しました。
すると「そういうのは、我々はOMSでやっちゃいます」とのこと。
そこで改めてネクストエンジンなどのOMSを調べたところ、自社+複数モールなど多店舗展開をしている店にとっては得られるメリットがかなり大きそうでした。しかし当店は自社ECのみの単店舗なので、ちょっとオーバースペックな印象。
そういったことを話す中で、井澤さんに「ボクモワインさんならロジクラがよいかも」とおすすめしてもらいました。
その後ロジクラさんについても調べてみると、どうやら僕たちがすべて手動でやっていたことがほぼほぼ解決できそうな印象を持ったので、まずはフォームから問い合わせをします。
するとロジクラの八谷さんからご連絡を頂き、オンラインで実際の操作を含めて説明していただいたところ、間違いなく現在の業務が大幅に効率化されることがわかったので、導入をほぼ即断しました。
他のサービスを検討しなかったのは、しっかりご説明いただいたことで我々が抱えていた課題がじゅうぶん解決されることがイメージできたのと、どのサービスも使ってみなければわからないのは同じだろうと考えたからです。
効率化されたところ
これまで在庫管理でやっていたことは、以下だと書きました。
- ワインの出荷予定数/予定日
- ワインの入荷予定数/予定日
- それらを差し引きした、未引当の在庫数
これらがほぼすべて、自動で行われるようになりました。
まずは仕入れたい商品の発注から入荷について簡単に説明します。
入荷について
ロジクラでの発注から入荷までの流れは以下となります。
- Shopifyに新しい商品を登録する
- ロジクラにも1の商品を登録する
- Shopifyとロジクラの商品をSKUで紐付ける(これで在庫が連動)
- 商品を発注し、ロジクラで入荷予定をつくる
- 商品が届いたらスマホでバーコードを読み取って入荷処理をする(自動的にShopifyの在庫も増える)
1〜3については、新たに取り扱う商品の場合だけ。通常の発注時には4と5のみですね。未引当の在庫もロジクラですぐに見られるので、とても簡単です。
ここで効率化に寄与するのは、
- 入荷予定の登録も入力UIがあるので楽
- 商品到着時の検品と同時に在庫への登録をしてくれる
- バーコードで入荷処理をするので間違いがない
- 自分のスマホで完結するので余計な費用や手間がない
と、なります。
やはりスプレッドシートでの入荷予定の入力はかなりしんどいですし、ミスの元です。またバーコードでの入荷処理は、入荷予定と違う商品が来た場合エラーが出るので、何も考える必要がありません。
さらに、入荷後に再度スプレッドシートにて「予定」から「完了済」に移動することと、加えて在庫数をBASEに反映させていたのですが、これもすべて自動化されました。
ここまででも、ものすごく効率化されていることがわかります。
次に出荷について説明します。
出荷について
商品の出荷時にもロジクラが活躍します。
注文がはいるところからの流れを見ていきます。
- Shopifyで注文が入る
- 自動でロジクラに1の注文情報が送られる
- ロジクラを使って注文情報に発送予定日を登録する
- ロジクラを使って注文情報をCSVエクスポートし、発送予定表(スプレッドシート)にペーストする
- ロジクラを使って注文情報を発送作業中に移動し、在庫を引き当てる
まずはここまでが、注文が入ってから必要な情報の処理となります。
以前は2、3、4、5のすべてをスプレッドシートを使って手動でやっていましたが、今は4だけです。
4についても色々検討した結果、これが安心して作業できそうだというフローではあるものの、省略することもできると思います。
次に、注文を出荷完了させるまでの流れです。まずはPCでの作業です。
- 在庫が引き当てられた発送作業中リストから、当日発送分の注文情報を表示させる
- 1で表示した注文の納品書(PDF)と送状データ(CSV)を出力する
- 2の送状データを編集してe飛伝3に取り込む
- スプレッドシートで管理している発送予定表と、当日発送分の納品書をプリントアウトする
PCを使った作業はここまで。
ここから倉庫に移動して、ロジクラのスマホアプリを使います。
- ロジクラアプリで、納品書にあるQRコードを読み込む
- ロジクラアプリにピッキングリストが表示されるのでそれにしたがってピッキングする
- ロジクラアプリでバーコードを使って検品する
- 同梱物を入れて梱包封緘する
- e飛伝3で送状をプリントアウトする
- ロジクラアプリで送状のバーコードを読み込んで出荷確定処理をする
- Shopifyに発送完了情報が送られる
- お客様に、自動的にお問い合わせNo.が入った発送完了メールが送られる
これで発送作業はすべて完了です。
ロジクラのおかげでミスもまったく無いですし、多くの作業が自動化されることで手間も劇的に減っています。
また7の検品についても、バーコード管理することでミスが発生しないので、手動では必須だったダブルチェックが不要になりました。
12のお客様へのメールについても、BASE時代は自分でe飛伝3(佐川急便のWebアプリ)から「お問い合わせNO.」をコピペしていたので、ミスの可能性はあると思うのです。気づいていないだけでミスをしている気もしますし。もちろん送り忘れ有りました。メールを送ることもありました。
これも自動化されることでミスを完全になくせます。このストレスから開放されたことも、とても大きなことでした。
セット商品の在庫管理
当店の在庫管理上、セット商品がかなりネックになっていました。
ワインは、単品をいくつかお選び頂いてお買い上げいただくことも多いのですが、セットでお買い上げいただくことも多い商品です。ワインを選ぶのは難しいし、1本で買うと送料が気になりますので。
BASE時代は、セット商品と単品商品を紐付けられる仕組みがありませんでした。したがって、どうしてもあるワインが残り1本などになったときに、セットに含まれるワインと単品でご注文頂いたワインの注文が重複し、次の入荷まで発送できないということがありました。
しかしShopifyもロジクラもそれらは解決してくれます。
ShopifyはBundlesというアプリで解決
Shopifyは「Bundles」というアプリで容易に解決。これもコマースメディアの井澤さんに教えていただきました。
- Shopifyでセット商品を商品登録する
- Bundlesアプリでそのセット商品に紐付く単品商品を登録する
これをしておくと、セットが売れたときに単品の在庫を減らしてくれますし、構成する単品が売れたときも当然、セット商品の在庫を減らしてくれます。
セット商品が売れた場合、ロジクラには「セット商品が売れた」という情報のみが送られます。
この場合、セットを構成する単品の注文情報は送られないのですが、次で紹介する通りロジクラ側で調整してくれます。
ロジクラには同様の標準機能がある
ロジクラは、標準機能としてセット管理機能を持っています。
ShopifyのBundles同様、セット商品を登録し、紐づく単品を登録しておくことで、セット商品が売れた場合には単品の在庫を減らします。ちなみにロジクラはセットの在庫を追いかける必要がないので、セットには在庫情報がありません。
これでShopify側もロジクラ側も、セットが売れると同時に単品の在庫を減らしてくれることになります。
スプレッドシートの手動時代で一番しんどかったのがここで、例えば
- 7月1日にAセットを発送する
- 7月2日にAセットを1、Bセットを2、Cセットを2 発送する
- 7月4日にBセットを3、Dセットを4 発送する
という注文が入った場合、スプレッドシートの発送予定表で、すべての日の単品ワインに数字を足していくことになります。
これがとても手間がかかる作業でした。
また、この発送予定に変更があった場合、当然ですが変更があった分だけの数字を別の日に移動させるのですが、ひとつずつ単品の数字を変えるしかなかったわけです。
この作業が、100%消滅したのです。
これが一番、僕の作業時間短縮に貢献してくれています。
まとめ
Shopify×ロジクラにすることで、他にも色々と恩恵を受けています。
ただしそれらは当店個別のフローの話になってしまうので、今回は割愛しました。
とにかく冒頭で書いたとおり、
- 在庫管理には1日5分程度しかかかっていない
- 受注管理もかなり短縮された
- 出荷ミスはゼロに、それに伴ってチェックがほぼ不要になった
- いまはShopifyとロジクラなしのEC運営は考えられない
という状況です。
OMSやWMSを知っている人からすれば当たり前のことばかりかも知れません。
でも、もしそれを知らない人がこの便利さを目の当たりにすると、おそらく感動すると思います。実際に僕は感動しましたし、今でも感謝しかありません。
ロジクラさんは導入時はもちろん、利用を開始してからのサポート体制もとても充実していますし、他のサービスへの移行を検討する必要が一切ありません。
もちろんShopifyもめちゃくちゃ柔軟に色々なことができて、ちょっとどちらも手放せない状況です。
いまもし在庫管理で困っている人がいれば、「Shopify×ロジクラ」の組み合わせを検討してもらうと良い気がします。
著者情報
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