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クラウドファンディングで275万円の支援を得るためにしたことのすべて

クラウドファンディングで275万円の支援を得るためにしたことのすべて

こんにちは。当サイト、ニュージーランドワインラバーズ運営会社の代表、佐藤です。

この記事は、佐藤個人名で当サイトに投稿する初めての記事となります。

僕は、2019年から事業パートナーの岩須さんと一緒に当サイト(NZワインラバーズ)を運営しておりました。そして2021年2月にふたりで新会社を設立し、7月1日に「NZワイン専門店ボクモワイン」を開店しました。

僕は、SNSやメールマガジンなどでは「中の人」として皆様と交流させていただいております。

このボクモワインの開店に先立って、先日までクラウドファンディングを実施し、みなさまのご支援・ご協力のおかげで無事に目標金額(200万円)を大きく超えるご支援を獲得できました。

この記事では、僕たちが目標を達成するためにしたすべてのことを共有します。

これからクラウドファンディングで

  • 資金を集めたい
  • 準備が整う前に売上をつくって回転させたい
  • テストマーケティングをしたい
  • 今後のマーケティングに活用したい

といった方にとって、すこしでも役に立つ記事になればと考えていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

また、応援してくださった方々も、これまでの一連の流れの裏側を知ってもらうことで、より親近感を感じていただけると嬉しく思います。

プロジェクトの結果

まずは僕たちの実施したクラウドファンディングのプロジェクトを振り返ってみます。

実際のプロジェクトページはこちらです。

クラファン完了

魅力あふれるニュージーランドワインで「心踊る瞬間」をつくりたい!

プロジェクト開始 4/30(金)
告知開始 5/10(月)
プロジェクト終了 6/14(月)
目標金額 2,000,000円
支援金額 2,758,600円
達成率 137%
支援人数 212名

このように、僕たちとしては大成功だと思える結果を得ました。数多くのご支援を頂き、本当にありがとうございました。

次に、CAMPFIREの管理画面で表示される、以下について共有します。

  • 支援額推移
  • PV(ページビュー)推移
  • 参照元別PV推移
  • 支援者の性別割合
  • 年代別支援者数

ちなみに、スクリーンショットの掲載はCAMPFIRE様に確認してご快諾いただきました。

支援額推移

支援額の推移はこのような結果となりました。

クラウドファンディング支援額推移

実は4/30(金)にプロジェクトを公開していたのですが、皆様への告知は5/10(月)からとしました。

なので、序盤は少しずつ。告知開始してからはグッと伸びていくこととなります。

この「プロジェクト開始」と「告知」のタイムラグについては、後述します。

PV(ページビュー)推移

ページビュー(このプロジェクトのページがどれだけ閲覧されたか)はこちら。

クラウドファンディングPV推移

支援額の伸びと相関があることがわかります。

これは佐藤の個人的な想像ですが、

  • 序盤のご支援は「お、こんなことやってるならすぐ支援するよ!」という方
  • 中盤以降のご支援は「しっかりリターンを選んでから」という方、もしくは偶然プロジェクトを発見された方
  • 終盤のご支援は「そういえばやってたね、忘れてたけど支援するよ!」という方

という感じかなと思っておりました。

ちなみに「偶然プロジェクトを発見された方」が意外と多くて、嬉しい誤算でした。

参照元別PV推移

これは、このページを見た人がどこからやってきたかを計測したものです。

クラウドファンディング参照元別PV推移

正直なところ、読み解き方が難しいなと思っています。というのも、この数値はあくまでPV全体なので、最も多い「サイト内訪問」について、

  1. Googleなどで「CAMPFIRE」と検索したあと、
  2. CAMPFIRE内で「ボクモワイン」などで検索して、
  3. プロジェクトページに流入

という流れなのか、CAMPFIRE内を回遊している人が、なにかのきっかけで訪問してくれたのかがわからなかったんですね。もちろん再訪問もあると思いますし。

個人的な予想としてはFBとTwitterが多くなるのではと思っていたのですが、そういった傾向は読み取れなかったです。

とはいえやはりSNSはとても重要だと思うので、これについては後述します。

支援者の性別割合

これは参考程度に。どちらにも当てはまらないかたもいらっしゃいますので、掲載自体も迷いました。

クラウドファンディング支援者の性別割合

ただ、序盤は男性が7〜8割だったのですが、後半女性が増えてきました。これは佐藤も岩須も男性であることが関係しているのと、やはり男性の方が深く考えずにパッと決めてしまうのかな、などと思っていました。

年代別支援者数

クラウドファンディング年代別支援者数

これはもう、佐藤と岩須が40代真っ只中だからでしょうね。当然、友人で最も多いのが40代となってしまいますから。

ただ、意外と20代の方が支援してくださっているな、という印象です。最近の若い方はお酒を飲まない方も増えていると聞きますし、嬉しいですよね。

さてデータ的な振り返りはここまでにして、本格的にプロジェクト発足の経緯、そして実際に心がけたこと、実行したことを共有していきます。

クラファンを利用しようと思った理由

さて、そもそもなぜ僕たちはクラウドファンディングを利用しようと思ったのか。

岩須は、このサイトのブログでこう書いています。

「ワインショップの開店にあわせて、クラウドファンディングやりましょうよ」

ミーティングでスタッフにそう言われたとき、僕はとっさに「あ、そうですね」と答えました。

しかし内心、うーん、あれかあ。ちょっと性に合わない気がするんだけどなあ、と思っていました。

クラウドファンディングって、あれでしょ。「僕、困ってるから、みなさん助けてください」っていうのを、今どきの言い方に変えたやつでしょ。

苦手だなあ。

ソムリエ岩須のブログ「クラファンとプライド」

実は僕も少し前まで、「何でもかんでも、困ったらクラファンで助けてもらうっていうのはちょっと違うよなあ」と思っていました。

そもそも僕たちのお店の資金は十分ではないものの、なんとか当面の間は仕入が先行しても困らない程度には用意しました。したがって、急いで開店資金を集める必要はなかったのです。

もちろん岩須の経営する飲食店「ボクモ」がコロナによって難しい状況になっていることは事実です。色々おちついたら、お店に顔を出しに行きましょう!

さて、ではなぜこの「クラウドファンディング」という仕組みを利用したのか。

それはCAMPFIREでも書きましたが、純粋に

「ひとりでも多くの人にNZワインを知ってもらいたい」

という思いからでした。

僕たちの大好きなNZワインは、スーパーやコンビニで目にする機会がとても少ないのが現状です。しかし、岩須や僕がそうだったように、ひと口飲んでもらえばきっとこの魅力をわかってくれる人が多いだろう、とも思っていました。

要するに、ワイン初心者〜初級者にとって親しみやすいのがNZワインなのに、とにかく出会いの場がないのです。

僕たちがNZワイン専門店を始めるにあたって、最も恐れていることが「NZワイン自体が知られていない」こと。

日本のワイン市場は大きなものがありますが、ことNZワインに目を向けると、なんと国別輸入量で11位とまだまだ無名の存在と言っても過言ではありません。

そこで、クラウドファンディングを利用すれば、ひとりでも多くの人に触れてもらえるのではないかと思ったのです。

これが、僕たちがクラウドファンディングを利用しようと思った理由です。

プロジェクトの目的を明確にした

「ひとりでも多くの人にNZワインを知ってもらいたい」というのが、クラウドファンディングを利用する理由だと書きました。

でも、これではちょっと漠然としていますので、数字に落とし込む必要があります。この数字は、普通に考えれば「目標金額」なのですが、金額だと「ひとりでも多くの」は測れません。

例えば今回275万円超のご支援をいただいていたのですが、仮にリターンの平均額が27,500円だったとすれば100人ほどのご支援で達成できてしまいます。

もちろんこの100人という数字も大きなものですが、もう少し裾野を広げたいと考えた僕らは、裏目標(=真の目的)を「支援人数200人」としました。

実際、もっとも多くご支援いただいたのが、5,000円〜6,000円の

  • はじめてのNZワイン2本セット
  • はじめてのNZワイン2本セット追加ver.
  • はじめてのNZワイン2本セット再追加ver.

の72名様でした。

次に多かったのは、8,000円ほどに設定した

  • アウトドアで楽しむためのNZワイン 3本セット
  • アウトドアで楽しむためのNZワイン 3本セット追加ver.

の40名様。

このプロジェクトをきっかけに「これからNZワインを楽しみたい」という人のために、できるだけ手に取りやすい価格設定のものを用意する必要があると考えたのですが、実際に支援者様のうち52.8%の方が、この2つの価格帯のリターンをお選びいただきました。

もちろんすでにNZワインの魅力を知っている人には、上質なワインを揃えたもう少し価格帯が上のものをご用意いたしました。

このように、比較的お手頃な価格設定にしたものが半分以上のご支援を占めているのは、僕たちにとっては嬉しいことでした。

いわばエントリーラインのリターンでNZワインを知ってもらい、その魅力を僕たちがしっかりお伝えすることで、ひとりでも多くの人に、新たにNZワインラバーとなっていただけると考えているからです。

もちろんこちらで負担する送料や、選べる特典にかかる費用はどのリターンもほぼ変わらないので、お手頃なリターンほど僕たちの手元に残るお金は少なくなります。

しかし、「このプロジェクトは資金を援助してもらうのではなく、ひとりでも多くの人にNZワインを知ってもらうこと」と決めていたので、まったくブレずに追加のリターン設定をすることができたのです。

クラファンの利用は開始5ヶ月前から想定していた

実は僕たちは、ボクモワイン開店の7ヶ月前、クラファン開始の5ヶ月前となる2021年1月初旬の時点から、クラファンの利用を想定していました。まだ税務署に酒販免許の取得について質問しに行っていた時期です。

さきほども書きましたが、僕たちが一番恐れていることが「NZワインの認知度が低い」こと。

いきなり「NZワイン専門店はじめました!」と言っても、誰にも知ってもらえない、お店に来てもらえない状況になることが目に見えていました。

となると普通は「広告の投入を」となるのですが、それは資金量が物を言う世界。先行する企業やショップに対して真っ向勝負となってしまい、かなり厳しい状況になることが容易に想像できます。

広告を運用する前に、もっと僕たちにはできることがあるのではないかと思ったのです。

お店のオープンは、そのお店にとって一度しかない出来事。たぶん、閉店と同じくらい、二度とこない特別なイベントです。

「ここは特別。普段は躊躇する“個人のSNS”のパワーを使おう」

という結論に至り、その「個人のSNSパワー」が効くプラットフォームということで、クラファンの利用を検討していたのでした。

プロジェクト終了後まで見据えたストーリーを考えた

「資金集めではないクラウドファンディング」を実施するにあたって、僕たちが大切にしたことは

「クラファンはあくまできっかけづくりであり、その後こそが本番」

だということです。

クラファンで目標達成すると一時的な売上にはなりますが、その後継続的にご購入いただく流れをつくらないと意味がありません。

クラファンはお店にとって一度きりの飛び道具。よほど何か特別なことが無い限り、今後は利用できません。

次に利用するときは、例えば「ボクモワインの実店舗を構えたい」などでしょうか。まずはオンラインのみでやってますが、実は将来の目標にしています。

さて、クラファンできっかけをつくり、その後の購入につなげてもらうためにはどうしたらいいか。僕たちは、一連のストーリーをこう考えました。

  1. まずボクモワインに、何らかのかたちで接してもらう
  2. 1で接してもらった人に、クラファンの告知ができる体制をつくる
  3. 価格的にも商品価値としても魅力的なリターンをつくって、クラファンを実施する
  4. クラファンを通じてボクモワインでの買い物を体験してもらい、お店に好感を持ってもらう
  5. クラファン終了と同時にお店を開店させる
  6. ここまでに接することができた人に、魅力的な商品やサービスをお知らせしていく

この一連の流れでご支援、ご購入いただいたお客様が、僕たちの今後を作ってくれる大切なお客様になってくださることを、とても大きく意識しました。

このように、クラファンの利用を検討している段階から、プロジェクト終了後までの一連の流れをイメージしていたのです。そして僕たちは、この計画通りに企画を実施していきました。

  1. SNSを育て、ロゴ投票企画を実施
  2. 投票してくださった方にクラウドファンディングを告知
  3. クラウドファンディングを実施
  4. リターンを充実させ、特典に力を入れた
  5. クラファンを実施している間に、開店準備を進めた
  6. クラファンで初月の売上と、お客様との接点をつくった
  7. 今後は、ロゴ投票やクラファンでご支援してくださった方との関係を大切に育てていく

もちろんソムリエ岩須がいままで築いた信頼がとても大きく影響したのは事実です。

でも、こういったことを考えることなく、なんとなく始めていたら、なんとなくの結果が出て、なんとなく終わっていったように思います。

開始数ヶ月前から公式SNSの運用に更に力を入れた

ボクモワインの母体は、「ニュージーランドワインラバーズ」というNZワインに特化したWebメディアです。

このメディアの運用を開始したのが2019年11月1日。しばらくして

のアカウントをつくっていきました。

この中でもっとも力を入れて運用したのが、Twitterです。

なぜならこのときはまだECサイトはなく、Webメディアの認知やアクセスの向上を目的としていたためです。

Twitterは、

  • TweetをRTなどのかたちでシェアしやすい
  • 交流がしやすい
  • 広告メニューの自由度が高い

こともありました。

そしてインスタはシェア機能がとても弱く、運用が難しいです。

特に、Twitterの広告メニューには「フォロワー獲得」があります。これは、「おすすめアカウント」としてみなさんのTL等に表示され、それを見た方がフォローしてくださったときにだけ、費用が発生するというものです。

SNSはフォロワー獲得が難しいので「フォロー&RTキャンペーン」等をつかってフォロワーを増やしたりします。でも当時の僕たちには商品がなかったので、フォロワー獲得広告を使ってフォロワーを増やしていきました。

もちろん広告だけでなく日々の投稿もしますし、みなさんとの会話も楽しんでいます。

何をするにもフォロワーさんは大きな力となってくれますので、どうやって増やしていくかを考えて実施していったのですが、クラファンの実行が決まってからはより「人感」を出していきました。

僕が「中の人」として運用の中心になったのはこのあたりからです。

具体的には、いままで投稿の告知が主だったTwitter投稿に、数はそれほど多くないものの普通のつぶやきも交えていきました。

ちなみに広告費は、

  • Twitter 月額30,000円
  • Instagram 月額30,000円

で運用していますが、インスタはフォロワー獲得を目的とした広告メニューがないので、難しいところです。とにかく広告であれ通常の投稿であれ、まずは継続していくことが重要だと考えています。

ちなみに今後は、他の広告の兼ね合いも出てくるので、金額面は少し調整する予定です。

本文に熱量を注ぎ込んだ

クラファンで大切なことは、

  • 魅力的なリターンとそのわかりやすさ
  • プロジェクトへの共感
  • これまでつくってきた信頼

などがありますが、他にも、とても大切なことがあります。

それは、「どうやっても収まりきらない、画面から溢れ出る熱量」です。

本当に実現したい未来があれば、それを本文の文章と画像にすべて注ぎ込むのです。

僕たちのプロジェクトでは、

  • NZワインがいかに世界で評価されているか
  • そしてそれがいかに日本で過小評価されているか

という部分に関しては、エビデンス的な情報を入れました。

でもそれは、プロジェクトによっては必ずしも必要ではないと考えます。

それより、岩須のNZワインに対する熱い思いを注ぎ込みました。そして、結果的に共感を得て、面識のない方々からも多くの支持をいただきました。

だから、

「こんな未来が来たら楽しいと思います!」

「こんな楽しいものを知ってほしいんです!」

「こんなにいいお店をなくしたくないんです!」

といった、自分が信じる「実現したい未来」について熱すぎるほどに語るべきだと思います。

文章が長くなっても大丈夫です。

僕のこれまでのWebに関する経験上、読みたい人は全部読むし、読みたくない人は飛ばします。

よく

「うーん、いいかもしれないけど、文章が長いよね笑」

と無責任に言う人がいますが、無視してください。

そんな感想を言ってくる人は、読みたいとか、理解したいと思ってないから、パッと分かるように短くしてほしいのです。

クラファンの本文の文章は、説明文でもレポートでもありません。

あなたの未来に対する思いを注ぎ込むところです。

とにかく、伝えたいことを何度でも書いて、あとで自分で読んで「どう考えてもくどいな」と思ったところだけ削ればよいのです。

他人の言うことなんて結局のところ「他人事」です。無視して自分の思いを書ききりましょう。

その上で、テクニカルな文章術みたいなものはあってもいいかもしれませんが、そこは本質ではないと思っています。

人の存在を全面的に出した

人はやはり、人に共感するのだと思います。

最終的にはプロジェクトやリターンに魅力を感じて支援するのかもしれませんが、きっかけは、間違いなくそれを語る人への共感です。

僕たちのプロジェクトでは、とにかくソムリエ岩須を全面に出しました。プロジェクトのページを開いて目に入るのは、岩須の写真です。

クラファンスクリーンショット

どうしてそうしたのか。

それは、そこには1mmも嘘や誇張がないからです。岩須が飲食店でNZワインを提供してきて、それをもっと広めたいと思っていることは、事実なのです。

その事実を一番効率良く伝えるには、岩須が全面に出るのが一番だと判断したのです。

もちろん、圧倒的なプロダクトの力があれば、それも不要でしょう。

たとえば「体が不自由なひとの生活が劇的に快適になるギア」があって、そのエビデンスがしっかり掲載されていれば、おそらく多くの支持を集められるでしょう。

でも、僕たちのプロジェクトは、ワインという、ある意味どこにでもあるものを取り扱っています。もちろんこの「NZワイン」というプロダクト全体の力は信じているのですが、他にも美味しいワインはあります。僕も、ブルゴーニュやボルドーのワイン、大好きです。

でも僕たちは、NZワインだって負けないくらい美味しいし、他の国のワインにはない魅力があると思っています。そしてそれを日本にもっと広めたいと考えています。だから、「ワイン」の魅力だけではなく「NZワインを広めたいと思っている僕たち」の存在を出して、少しでも共感してもらえるように、と考えたのです。

少しでもワインが好きだったり、NZが好きだったりする人に

「なんかすごく熱くNZワインについて語ってる人がいるなあ。へえ、名古屋でワインバーやってるんだ。どれどれ」

と思ってもらうために、できることは全てしました。そのもっとも大きな要素が、岩須を全面に出すということだったのです。

興味を持って読み進めてもらったら、あとはNZワインの現状と魅力的なリターンで、なんとか支持を得られるんじゃないかと考えていたのです。

そして結果的に、それがうまくいきました。

リターンに普通の買い物以上のお得感を出した

僕たちの設定したリターンは、正直なところ、かなり「お得」だと思っています。

リターンに付随する特典はこちら。

  • 20,000円以上のリターンはすべて希望小売価格から10%値引(ソムリエと選ぶセットは除く)
  • 「ソムリエと選ぶセット」に値引きはないが、その分ソムリエがお話しながら選ぶという特典がついている
  • すべてのリターンに2,000円のクーポン or 2,400円相当のワイングラスをつけた
  • クール便代を含む送料をすべて負担
  • 選んだワインについての情報が載ったワインカード
  • NZワインに関する冊子
  • お店のステッカー
  • ニュースレター
  • 岩須からの手書きの挨拶状

NZワインラバーズ特典

これはクラファンではなく普段のボクモワインのご購入につけるセット。クラファンでは、これにワイングラスorクーポンをつけました。

まず、送料だけでも近隣県で1,000円ほど、北海道だとその1.5倍ほど。沖縄は2倍ほどですね。それに加えてクーポンやワイングラスがついてきます。

これ、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、金額の小さいリターンほど得られるメリットが大きくなるのです。

でも、それもよしと判断しました。

なぜなら、僕たちの目的は「ひとりでも多くの人にNZワインに出会ってもらうこと」だったからです。

もちろん、以前からのワインラバーは、普段なかなかセットで買うことができない高価格帯のワインセットに魅力を感じてくださいました。

でも、多くの人に8,000円以下のリターンを選択していただきました。

この場合、「選べる特典」をクーポンにした場合の単純計算で、クーポン2,000円と送料の1,000円ほど、合計3,000円ほどお得に購入できます。仮に8,000円のリターンだとしたら、実質37%OFFです。

5,500円のリターンの場合、実質54%OFF。

どう考えても、やはりお得だと思います。

この「実質」っていう考え方は、ちょっと盛りが入る言い回しですが…笑

もちろん、クーポンは次回購入時に利用できるものなので、純粋な値引きではありません。また、ワイングラスも、当然仕入れ値は小売価格より低い金額ですから、こちらも額面通りの値引きにはなりません。

ただ、それでもやはりお得感を感じていただけたのではないかと思います。

リターン画像の価格や内容をわかりやすくした

かなりお得に設定したリターン。次はそのお得さや内容を、しっかり伝えなければいけません。

そこで重要なのが、画像によるリターン内容の訴求です

  • 価格
  • ワインセットの内容
  • 付随する特典
  • 送料が無料であること
  • 値引きがあればそれも

これらをしっかりとわかりやすく画像にしました。

先程「長い文章でも読みたい人は読む」と言いました。これは本当にそのとおりだと思います。でも、文章は読みたくないけれど支援したい、という人も間違いなくいます。

そういった方々に視覚的にわかりやすくするのは、その方々はもちろんですが、文章をしっかり読んでくださる人にとってもメリットしかないのです。

僕たちは、自分たちでグラフィックデザインができるので、画像制作のハードルがとても低いのは事実です。でも、たとえ拙くてもわかりやすい画像にすることは可能だと思うし、クラウドソーシングでフリーランスの方に依頼するのもよいと思います。

価格帯に幅を持たせた

リターンの価格には幅を持たせました。

その価格帯は

  • 5,000円ほど
  • 8,000円ほど
  • 12,000円ほど
  • 15,000円ほど
  • 18,000円ほど
  • 20,000円ほど
  • 25,000円ほど
  • 30,000円ほど
  • 35,000円ほど

といったものです。

実際僕が他のプロジェクトでリターンを選択する場合、やはり10,000円以下のものにすることが多いので、低い価格帯は絶対に必要でした。

そして、もう少し高価格帯のリターンも、適正価格から10%OFFにすることでお得感を感じてもらえるように。

8,000円までのリターンを選択してくださった方が半数以上だった一方、高価格帯のリターンも支援していただけたので、ある程度正解だったと思います。

リターンは追加を想定した

このプロジェクトでは、支援上限に達したリターンに、何度か「追加バージョン」を設定しました。

これが結果的に、クラウドファンディングの特徴である「受注販売」というメリットを活かすことになります。リターンが完売したら、追加リターンの設定をしつつその分をインポーターさんに発注していたのです。

また、リターンを追加する際には、上限に達したリターンとは若干ワインを変えることで、それに伴って金額も変え、先に支援してくださった方が「こっちのほうが得じゃないか」と感じることの無いようにしました。

数の多少はあれどワインは量産品ですので、仕入れることさえできれば同じリターンを追加することが可能でした。しかしそれは、先に支援してくださった方に失礼にあたるのではないかと思ったのです。

「ソムリエと一緒に選ぶセット」に関しては、価格を大幅に引き上げたリターンを追加しました。

ワインは小売価格ベースで選びますので、価格を引き上げた分、ワインの価格や本数が増えます。したがって、支援者様にデメリットはありません。実際にZOOM等で相談しながらソムリエが選んだのですが、体験としても、大変ご満足いただけているようでした。

仲の良い人にファーストペンギンをお願いした

これも、結果的にプロジェクトを成功に導いてくれた、ひとつの要因だと思っています。

プロジェクト開始日である4月30日から、告知日である5月10日までの間に、メッセンジャーやチャットツールで佐藤の仲の良い人に、先行してこのプロジェクトをお知らせしました。

もちろん仲の良い人、ある程度関係性を持っている人、理解を示してくれそうな人に絞って告知したのですが、やはり直接頼むことで、支援してくださる人がほとんどでした。

友達には押し付けがましくしてしまい、申し訳ないと思っています。

なぜこれを実行したのかというと、告知日である5月10日の時点で支援金額と人数が0より、少しでも支援が入っていたほうがプロジェクトを見る人の躊躇がなくなるはずだと思ったのです。

もちろん岩須のお知り合いやお店の常連さんは、そんな小細工を弄しなくとも支援してくださったと思いますが、僕としては万全を期したかった。

ちなみに岩須は、こういったことは一切しないと決めていました。これは僕の独断ですので「自分、先に聞いてないよ」と思われた方は、僕をお叱りください。

個人のSNSで頑張って投稿した

普段、宣伝めいたことを個人のSNSですると、やっぱりちょっと鬱陶しいと感じてしまいますよね。

でもごめんなさい、今回だけはやるべきだと思っていました。

先述しましたが、お店のオープンはそのお店にとって一度しか無い出来事です。移転やリニューアルは何度かあるかもしれませんが、オープンとクローズだけはそれぞれ一度だけでしょう。クローズしたあとに復活!みたいなのはあると思いますが・・・。

「ここでやらずにいつやる!?」と思い、ある程度様子を見ながらではありますが、積極的に個人のSNSで投稿しました。

もちろん、SNSのTLという空間に宣伝臭を漂わせたことには、申し訳無さを感じていました。

ただ、ある人と話していて

「いや、正直そのくらいやらないと、本気じゃないんじゃない?って思っちゃうよね」

って言われましたし、実際僕もそう思います。

これが「何度目かのクラファンです」みたいな状況だったらちょっと空気を読んだと思いますが、今回はほぼ空気を読みませんでした。

その甲斐あって「佐藤さんの投稿で、ワイン飲みたくなって支援しました」と言ってくださる方もいらっしゃったので、間違いじゃなかったんだなと改めて思いました。

様々な場面でプロジェクトを紹介した

クラファンの期間中、僕と対面でお会いした方は、ちょっとした雑談時に「◯◯さんってワイン飲みます?」って聞かれたと思います。

もしくは「いまこんなことやってて…」とクラファンページをスマホで見せられた方もいらっしゃいますよね。

上のSNSの件もそうですが、普段営業的な行動をしない僕も、今回はかなりそういった動きをしました。

もちろん「ワイン飲みます?」と聞いて「いや全然」と言われれば、そうですよねーって言っていい感じに話をそらして終わりなんですけど、「好きですよ」って言ってくださった方にはしっかり宣伝しました。

SNSやWebだけで支援が集まればいいんですけど、今回だけは絶対に成功させたかったんです。

僕たちのプロジェクト、というかNZワインというプロダクトは、他にも選択肢がある商品ですから、そのくらいの意思の強さが必要だと思います。

とはいえ、僕たちは本当にNZワインを良いと思っているので、おすすめすること自体にはまったく気後れしませんでしたが。

支援の意欲はあるものの、忘れている人がいることを想定した

多くのプロジェクトがそうだと思うのですが、支援数・金額の伸びは、

  • 序盤にめちゃくちゃ伸びる
  • 中盤は少しずつ伸びる
  • 終盤にもう一度グッと伸びる

という動きになります。

これは、

  • 序盤は知人・友人が中心となって支援してくれるので動きが速い
  • 知人・友人の支援が一通り終わったたところで、偶然見かけた人たちの支援がポツポツと入る
  • 終盤は再度、知人・友人の「そういえば」という支援が入る

からだと思っています。

この終盤のひと伸びは、自分たちが頑張れば作れます。「もう終わるので、ぜひ支援してください」という告知をしていくことで可能です。

多くの知人・友人は、プロジェクトを紹介したら割と早めに支援してくれます。でも、どうしても後回しにして、忘れちゃう人もいます。

そういった人の目に触れるように、終盤5日程度はSNSで積極的に投稿します。

このとき、プロダクトやサービスの公式SNSアカウントがあると便利です。

個人の投稿で何度も告知されると、「宣伝うざ」と思われ、ひょっとしたらミュートされてしまうかも知れません。でも公式アカウントの投稿をシェアやRTするかたちであれば、それほど嫌な感じがしないと思うのです。

こういった公式アカウントのRT等を織り交ぜつつ、できるだけ最後のひと伸びをつくるため、SNSを利用しました。

CAMPFIREを利用する上での注意点

ここまで、僕たちがクラウドファンディングで目標を達成するためにしたことのすべてを、かなりリアルに書ききりました。

この文章は、「これを実行すればかならず達成する」といったものではありません。

でも、「達成したプロジェクトはこのくらい考えて動いていた」と思っていただけると良いのかな、と思います。

最後に、CAMPFIREを利用する上での注意点を書きます。これは実際に僕たちがかなり苦労しているところなので、プロジェクト開始前に理解しておいたほうがいいと思います。

支援者のリストが送り状フォーマットに対応していない

プロジェクト終了後に、支援者の個人情報をダウンロードできるようになります。取り扱いに注意が必要なのは当然なのですが、当然のことながら、佐川急便等の送り状に使えるCSVフォーマットではないのです。

僕はCSVファイルやEXCELを触るのに抵抗はありませんが、もしこれらが苦手だったとすると、送り状をつくるのがかなり大変なんじゃないかなと思います。

1,000人近い支援者を集めているプロジェクトもありますが、何かリターンを送る必要がある場合、結構苦労すると思います。

予めこういったことが得意なひとに声をかけておくか、発送の必要のないリターンを設定するのがよいでしょう。

納品書は手動で作る必要がある

僕たちは、複数のワインを送るというプロジェクトの性質上、納品書を同梱しています。

これも、通常のECカートシステムであればきっちりデータとして出力できて、プリントするだけというものが多いのですが、CAMPFIREにこのような機能はありません。

そこで僕たちは、Misocaという請求書作成サービスを利用して、1枚ずつ納品書データを作っています。

とはいえこれも結局のところ手動なので、ミスが起きる可能性は否定できません。納品書のミスは致命的なものとは言えませんが、今後の信頼をなくさないためにも、しっかりとしたチェック体制を取る必要があると考えています。

クール便等が必要なリターンの場合、受取日を改めて確認する必要がある

もうひとつ苦労したのが、支援者様の都合のよい受取日をお聞きすること、そしてそれを送り状データにすること、さらに発送業務が破綻しないように、発送日を分散させることです。

夏場のワインの輸送は温度管理がマストなので、受取日の指定が必要です。これを管理するのも、やはりこういった事務処理仕事が得意な人じゃないと厳しい気がします。

僕たちの場合は、

  • 支援者様にGoogleフォームで希望受取日を回答してもらった
  • リターン毎に「◯月◯日以降」と設定し、受取日がずれるようにした
  • それを支援者様リストに反映
  • 発送作業が破綻しないように、1日の発送量を管理

といったことをしています。

EXCELで簡単な関数をつかって特定の日に発送が集中してないかを確認して、集中していれば手動で調整しています。

データの取扱を慎重にする必要があるのと、これを送り状データに手動で反映することで、割と大きな負担になっています。

ここまで述べたことは、プロジェクトの最中には気づけなかったことなので、予め理解しておいたほうが良いと思います。

ちなみにマクアケ等他のサービスは使ったことがないのでわかりません。

まとめ

この記事を書いている最中に、こんな記事を見ました。

「長いタイトル」「リターンは10個以上」──成功しやすいクラファンの傾向、CAMPFIREがデータ公開

僕の書いたこの記事もそうですが、これを読んで「へー、こうすればいいのね」と考えるのではなくて、「結果的にこうなる熱量を持ったプロジェクトが成功した」と考えたほうがいいでしょう。

実際、僕たちのプロジェクトもほとんどすべての項目でこの記事の条件を満たしていますが、「タイトルの文字数を多くしよう」と思っていたわけではなく、伝えたいことを詰め込んだら本文もタイトルも長くなり、リターン数も、掲載画像も増えたのです。

プロジェクト成功の最大のコツは、プロジェクトオーナーが「絶対に目標達成するぞ」と熱量を持って臨むことだと思います。

なんとなくやってみて、「サクセスするといいなあ」という程度の熱量では、よほどリターンが魅力的で他にないもので無い限り、難しいでしょう。

この「熱量」というものは、Webページ上にも、じんわりと現れると思っています。

これはふわっとした印象の話だけではなくて、熱量があるからこそ、何度も何度も伝えたいことを繰り返し書き、わかりやすい画像を配置し、どうやったら訪れてくれた人にもっと伝わるかを考え続ける。その結果、知らず知らずの間に文章量や画像が増えていくのです。

この、“どうやっても、ページから溢れ出てしまう熱量”が必要なのです。

この記事で書いたことも、「これを実践すれば目標達成する」というものではなく、目標達成したプロジェクトはこのくらいの熱量を持って取り組んだ、と考えていただきたいのです。

あなたのプロジェクトが成功することを願って、この記事の執筆を終えます。

もし今からクラウドファンディングをやりたい、と思われている方がいらっしゃたら、ぜひご相談ください。直接アドバイスはできませんが、僕たちもお世話になった、とても信頼できる方をご紹介します。

著者情報

佐藤崇史
佐藤崇史代表取締役
Webの色々を中心に、様々なモノ・コトを使ってお客様のビジネスををサポートしています。特に地方で頑張る中小企業の業績を一緒になって伸ばしていくのに生きがいを感じます。自社Webメディア複数運営。最近はゲーム配信も少々。

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