株式会社ローリン

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Webサイト運用

ホームページ制作会社選びに失敗したお店のフォローが大変だったお話

先日弊社の業務で携わらせていただいた、ある飲食店のサイトの状況が結構しんどい感じでした。

それについて備忘的な意味も込めつつ、あと個人営業の飲食店さんとかに届けーと思って書いていきます。

普段サイトリニューアルとかの機会をいただくと、

  • 制作会社側から見ていい感じ
  • 依頼側から見ると適当

にされちゃってる、小さいお店とか零細企業さんとかの例を結構見ることが多いので、少しでもそういったことがなくなるといいなあと思っています。

結論としては、ドメインとサーバーだけは絶対自分で契約してね、って感じです。

ま、「めんどくさいし、よくわからんから、いい感じにやっといてー」てなるのもわかるんですけどね。

依頼の経緯

さてまずは今回の依頼の経緯について。

ウチのお客さんでもうずっとお付き合いさせていただいている会社があって、とっても仲良くしていただいているんですね。

そのお客さんも僕のことを信頼してくださっているので、「ちょっとこのひと困ってるから助けてあげてー」という感じでご紹介いただくこともあるんです。

今回もその流れで、名古屋市内にある高級業態の飲食店さんをご紹介いただきました。

「ホームページを新しくしたらしいんだけど、なんかすごく高い保守費?を請求されたらしくて、オーナー怒っちゃってさー」

という言葉を聞き、今どき懐かしのリース契約かな?と思いつつお客さんのところへ連絡を入れたのでした。

オーナー曰く、

4店舗分のホームページを作らせたんだけど、自分の無知で業者選びに失敗しましてね。。。

出来栄えにも全然満足してない。

あと月額の保守料金が1店舗15,000円、合計60,000円って言われて、流石にそれはないと、もう切っちゃったんですよ・・・怒

とのことでした。

このオーナーさん強面なんですが、だいぶ怒ってましたね。ちょっとこわかった。

そして僕から見ても、いくら高級業態といっても、さすがに60,000円は高いなあという印象。

ただ、こういった「依頼者が怒っちゃうケース」って、依頼者側にも問題があったりしますよね。今回も依頼者側にまったく落ち度が無いかと言えば、そんなことは無いと思うんです。

それでも、この金額を出されたら「は?」ってなっちゃうのもしかたない。

特に飲食店さんはWebサイト運用より、SNSとGoogleマイビジネス(以下GMB)を頑張ったほうがいいと思いますしね。

ということで、詳しい内容に移っていきましょう。

引き継ぎ時の状況

依頼者さんはやはりネットのことはそれほど詳しく有りませんでした。

まあこれは想定内なので問題有りません。

「おそらくサーバーやドメインのアカウント情報なんかも把握してない可能性あるよな・・・」

と思っていたら、案の定かなりあやふやな状態。

そこで前任の企業の連絡先を頂いて、こちらから連絡しました。

ここで非協力的になられると一気に引き継ぎのハードルが上がるので、めっちゃ腰を低くして連絡。

結果的に、引き継ぎにはかなり協力的な雰囲気でお話くださいました。ここはホントによかった。ここが非協力的な態度になると、聞きたいことを気軽に聞けなくなり、僕の心的コストが爆増します。

そして引き出した情報は以下。

  • 制作会社アカウントで店舗別にドメインを取得
  • 制作会社アカウントで店舗別にサーバーを契約
  • 本店はXserverの初期ドメインで運用するつもりっぽかった(!)
  • TOPのペラページに利用する予定だったドメインとサーバーはお客さん名義で所有
  • TOPと店舗別サイトすべてに、WordPress導入
  • 以前別の会社がつくったリクルートサイト(WP)もあり、しかもアカウント情報は知らない
  • 余談:GMBも重複扱いになってたし、Rettyだけが管理していた

まあ色々突っ込みどころがあるというか、僕だったらもう少しシンプルな形にすると思うんですよね。

制作会社アカウントで店舗別にドメインを取得

→ サブドメインでOK。制作会社アカウントはよしなさい。

制作会社アカウントで店舗別にサーバーを契約

→ サブドメインなら不要。制作会社アカウントはよしなさい。

本店はXserverの初期ドメインで運用するつもりっぽかった(!)

→ hogehoge.xsrv.jp/hogehoge/がインデックスされてた。エグい。

TOPのペラページに利用する予定だったドメインとサーバーはお客さん名義で所有

→ ホッと一息 ε-(´∀`*)
→ 制作会社には、これらのアカウント情報は持ってないと言われる(!)

TOPと店舗別サイトすべてに、WordPress導入

→ 更新多分全然しない。したとしても料理やワインのメニュー変更のみ
→ お客さんがWP使えるわけがない。
→ そもそもTOPはペラだからWPいらんでしょう
→ ってことで静的でよくない?

以前別の会社がつくったリクルートサイト(WP)もあり、しかもアカウント情報は知らない

→ なんで知らんのや。
→ それで保守とかどうするつもりだったのか

余談:GMBも重複扱いになってたし、Rettyだけが管理していた

→ まあこれはね・・・よくあるやつ。
→ でもRettyさんは割と良心的なのかな?

ということで、構成をシンプルにしつつ、保守が不要な状態にしてあげることを目的に作業開始しました。

あ、ちなみに僕は技術的なところは弱いので、実作業はパートナーに依頼してますよ。

対応の内容

ここからは対応した内容について簡単に触れていきます。

はじめにお伝えしておきたいこととして、以下の作業を完了するまでに、2ヶ月くらいかかりました。

その間3回はお伺いして情報を引き出してますし、前任の制作会社や、それ以前のサイト構築に携わった知人にも色々確認しました。

↑これは偶然にもgitで知人アカウントを見つけました笑

情報が一箇所にまとまってないし、誰がどの情報を持ってるのかもわからないところを紐解きながら進めたので、時間がかかってしまったというわけです。

店舗別のWordPressをひとつのサーバーに集約

まず、店舗別で別サーバーに分かれていたサイトをひとつにまとめます。

幸いにもTOPページのみ入っていたサーバーはお客さん保有。

なんとか情報を引っ張り出してログインできたので、まずはサイトネットワークをつくって店舗別WordPressのデータを全部インポート。動作確認して待機。

別ドメインをサブディレクトリ構造に変更。サブドメインと迷ったけど、サイトの構成がそのかたちだったので。

前任の制作会社には「移管が完了したら店舗別のサーバーは不要です」と伝える。

店舗別のドメインを弊社アカウントに移管

次に店舗別のドメインを弊社所有にする。

ただし一時的に弊社アカウントで所有するが、更新期限が来たら放出する前提。

お客さんに余計な手間を取らせることなく移管を完了させるための処置。

今回は前任会社がムームーでの管理だったので、弊社ムームーアカウントに移管。お名前と違ってすごく簡単にできました。

所有権が弊社に移った時点で、DNSをお客さん所有のサーバーに振り向ける。一旦これでサイトの移管自体は完了。

店舗別ドメインから各店舗のサブディレクトリにリダイレクト

すでに店舗別ドメインがGoogleにインデックスされていたので、DNSの変更が反映された時点で、301リダイレクト。

これでGoogleからのアクセスも問題なく現行サイトに流入。

ただし「本店」のみXserver初期ドメインがインデックスされていた(!)ので、前任の会社にリダイレクトファイルの設置を依頼。

これが一番ありえないと思いましたねえ。

GTM、GA、GSCを入れた

とくに要望はなかったけど、とりあえずデータは取っときましょうということで、GTMを使ってGAとGSCを入れておきました。

ただし弊社は保守費はもらわず、今後何かあったらスポット対応とする予定なので、入れただけです。目標の設定すらしてないですね。

解析などが必要な業種だとも思わないので提案もしません。

「保守費払うくらいならバイトさんに時間使ってもらって、GMBとか更新してくださいねー」

と提案。

もう少しガチでやりたい、という感じだったら何か考えてたと思いますが、今回はSOSに対応ということで。

すべてのアカウント情報等を1枚のPDFにまとめてお渡し

ここまで作業して(もらって)、最後にすべてのサーバー、ドメイン、Google、WordPressなどのアカウント情報をPDFにまとめました。

それをメールで送りつつ、印刷してクリアファイルに入れて渡して納品完了です。

目に見える成果物はこれだけなので、Webとかにお金払いたくない気持ちはわからんでもないです笑

おまけ:Googleマイビジネスの状況チェック

おまけとして、GMBの状況をチェックしました。

系列店が同じような店名で、かつ隣の敷地で営業していることもあって、重複扱いになっていました。

これは「Googleに聞いたほうがいいですねー」とアドバイス。

あと、管理をRettyに丸投げで、電話番号とかも全部Rettyになってました。

余談ですが、個人的には「それっておかしいんじゃないの?」と思います。

ただ、他の飲食店経営者さんに確認したところ、GMBの管理をオプションとして有償提供しているらしいですね。

正直、GMBはご自身で管理されることをおすすめします。というかですね、何だったらRettyには

「GMBからの予約リンクと電話番号をRettyにするから値引きして」

って言うべきじゃないですかね。まあ無理だろうけど。

情報格差をお金にするのってまあ悪いことじゃないんでしょうけど、こういうのはちょっとなーと思ってます。

本当に必要なのは制作会社を選ぶ知識じゃないかも

今回のようなケースってたまに、それでも年に1回くらいは出くわしますよね。

ぶっちゃけ原因は依頼者側の情報のなさにあります。そこに制作会社側の都合が乗っかる。

その両方が重なると、今回みたいなことになるし、もう少し金額が少なかったら「まあこんなものか」となっていたかも知れません。

お互いが納得していればそれで成立するわけですから、そこについては何とも言えませんが、少なくとも僕はそういったことはしないようにしています。

これまでの経験上、適切な料金で適切なサポートをしていれば、何かあれば頼ってくれて、それによって仕事が発生しますよね。あと、お知り合いを紹介してもらえることも多々あります。今回のケースもお客さんの紹介だったし。

僕が思うに、Webの専門家でない人がWebを利用する場合に必要なのは、知識をつけることじゃなくて、信頼できる専門家に相談できる状況をつくることだと思うんですよね。

例えば僕の場合、今回ご紹介してくださったお客さんとは、月額1万円でサポート契約を結んで

  • WPでのブログ更新代行(文章は何らかでもらう)
  • 新商品の掲載
  • お知らせの更新
  • GMBの更新
  • WPの管理
  • 各アカウントの管理

なんかをやってます。

「えー、それはちょっとやりすぎでしょ」

って思われるかもですが、ぶっちゃけその他の業務で月数十万円の利益をもらってるんですよね。

だからこの場合の1万円は、つながってもらうためのもの。

ただ、これを無償にしちゃうとダメなんです。お互い遠慮が入って疎遠になりますからね。

パートナーとしてやっていくなら少しでも金銭的な関係にしておくことが必要だと思います。

とは言え、このやりかたは相互の信頼がないと成り立たないんですけどね。

制作会社の「アカウント問題」はほんと悪だと思う

あと最後にいいたいのは、制作会社アカウント問題。

サーバーやドメインを制作会社アカウントで管理するのはホントにやめたほうがいいと思います。

10億兆歩譲ってサーバーはまだいいとしても、ドメインだけはホントにダメ。

制作会社としても、余計なトラブルになるのでお客さんに契約してもらったほうがいいと思うんですけどね。

そうしておけば、契約を切られても「全部渡してありますよね」で終了できますからね。そうするかどうかは別として。

そういえば昨日も、ある弁護士法人の代表の方から相談があったので飲みながら色々話してました。

結果的にWebサイトをつくることになりそうなのですが、これまたもともとはご紹介でしたしね、仕事に関してはまっとうに生きていきたいものだな、と改めて考えました。

という感じで、色々大変でした、というお話でしたm(_ _)m

著者情報

佐藤崇史
佐藤崇史代表取締役
Webの色々を中心に、様々なモノ・コトを使ってお客様のビジネスををサポートしています。特に地方で頑張る中小企業の業績を一緒になって伸ばしていくのに生きがいを感じます。自社Webメディア複数運営。最近はゲーム配信も少々。

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